任意後見契約から見る利益相反行為とは?
本人と受任者(任意後見人)における利益相反行為とはどんなものか?
利益相反行為とは、少し難しい言葉ですが
本人と受任者(任意後見人)との利益がぶつかり合うというイメージです。
本人と受任者との関係で、利益が相反する行為を
受任者が本人の代理人として取引しても無権代理行為となってしまいます。
※無権代理行為とは・・・・・・代理権を有しない者が、代理人として法律行為を行うことです。
以下がその例です。
① 相続のとき
本人と受任者とが共同相続人の立場にあるとき、両者は利益が相反する関係になります。
例えば、父が亡くなって始まった相続の場合、母の後見人として娘が選任されていたときがそのケースです。
母も、後見人の娘も同じく父の相続人です。
娘は後見人として、遺産分割につき、母の利益を最大限尊重するようにしなければいけません。
また、娘は娘で相続人の立場で、自己の利益を主張します。
すると後見人としての娘と、相続人としての娘とでぶつかり合うことになります。
このような時は、
1.後見人である娘が、相続放棄をする。
2、後見監督人が母の代理をし、娘は相続人の立場で遺産分割協議を行う
などの方法がとられます。
②不動産などの贈与
例えば、息子が父の後見人であるときのケースで考えてみます。
後見人である受任者(息子)が、本人(父)の所有する不動産の贈与を受けたり、買い受けたりする場合。
不動産を受ける者が受任者(息子)の配偶者や内縁関係にある者も同様に利益相反行為となります。
また、受任者の債務(借金)を担保するために、本人の不動産に抵当権を設定したり、
本人を保証人にすることなども利益相反行為となります。
※受任者の財産を本人に贈与するような、本人に利益をもたらすだけの行為は利益相反行為とはなりません。