自分の財産管理を任せる ‐財産管理等委任契約‐
判断力はある、でも体のほうが不自由で金融機関での手続きが大変なとき
頭はしっかりしていて、お金の計算もでき
自分の財産がどのくらいあって、どの口座から光熱費等が引き落とされているかも
しっかり把握している。
だけど、長期入院や寝たきり状態が続いたせいで、
自分で金融機関に行ったり、役所に行って手続きを行うのが難しい場合が
あるかと思います。
そんなときのために、財産管理等委任契約があります。
財産管理等委任契約を結ぶことで、預貯金の管理(預かり入れ、振り込み、解約など)を
他の人に任せることができます。
※財産管理等委任契約は、あくまで、認知症が進み自分の判断ができなくなるまでの間のみの契約です。
認知症が進行し、自分で財産の管理ができなくなった場合は後見制度に切りかえるなどの
必要があるので、財産管理等委任契約と任意後見契約を一緒に結ぶか、
他にも家族信託を利用するか、自身の高齢期をトータルで検討する必要があります。
■他の人とは
他の人とは、もちろん信頼のおける人です。子どもが近くに住んでいれば子ども、
子どもがいない場合は、甥や姪。近くに頼む人がいない場合は専門家(行政書士など)に頼みます。
頼む人数は、一人でなくとも複数人に任せることもできます。
例えば、子どもに財産管理を任せ、信頼のおけるケアマネージャーに療養看護を任せるといったようにです。
■なぜ必要
財産管理等委任契約は、頼む人と頼まれる人の合意があることで成立します。
頼む内容は、二人でもしくは専門家を交えて話し合い、契約書として書面に残します。
なぜ、わざわざ財産管理用委任契約という難しそうな契約を交わしておいたほうが
よいのかというと、
もちろん、体が不自由になったり遠出ができない本人に代わって
金融機関や役所に行くなどして、財産を管理することができるということと
相続トラブルの防止にも有効ということでしょう。
たとえば介護施設の入居費や、病院での入院費が必要になったが、
親自身は金融機関まで行く体力はないからと、
親のキャッシュカードを子どもが預かりATMでおろすことは
よくありえるケースではないでしょうか。
しかし、このような
親のキャッシュカードを子どもが預かっている
状態が長く続くと、親と子の財布が入り混じる可能性もありますし
そして、他の相続人は、最初はしょうがないと静観していたとしても
長期にわたると疑いの目が生じる可能性もあります。
このような場合に、財産管理等委任契約書があり
領収書やレシートなどで管理財産の動きが明確になっていると、
そのようなトラブル防止に有効です。
また、財産管理等委任契約には不動産の管理や保存に関する代理権も
定めることができます。