任意後見制度について②

任意後見制度には大きく3類型ある

先日、任意後見制度と法定後見制度の違いを説明しました。

任意後見と法定後見のおおまかな違い ‐おさらい‐

任意後見は、判断能力があるうちにある特定の人(親族や信頼できる人など)を後見人として指定し、

契約を交わしておきます。契約書は、公正役場で作成する必要があります。

 

一方、法定後見場合は、すでに判断能力が欠いている状態の時に利用する制度です。

後見人には、裁判所が選任した者が就きます。自由に自身の財産を引きだし使用することが

難しくなります。後見人が、財産管理を行ってくれているためです。

そして、毎月、後見人へ報酬を支払わなくてはいけません。

また、任意後見とは違い、法定後見には取消権があるなどの違いがあります。

 

任意後見から法定後見へ変更することもできますし、

後見制度を利用する場合は、よくよく検討する必要があります。

間違っても、預金を下ろせないから後見人をつけるといったことはしない方が

いいかと思います。

 

本日は、任意後見制度の大きな3類型について説明します。

 

①将来型 ②即効型 ③移行型 の3類型 (任意後見制度)

1、将来型

将来型とは、本人が任意後見契約を結ぶ時点で、十分な判断能力を持っていて、将来、本人の判断能力が

不十分という状況になったときに、はじめて任意後見人の保護を受けるというものです。

 

デメリットとして、契約を結んだときから、契約の効力が発生(本人の判断能力が不十分になったとき)するまでに、

タイムラグが生じる可能性があることです。その結果、いざ任意後見契約の効力が発生した際には、

受任者が本人の生活パターンを知らなかったり、財産の状況を知らなかったりという問題が生じやすくなります。

 

また、本人の側でも、契約を結んだことを忘れてしまうことも予想されます。

従って、対策として「継続的見守り契約」というものを別途で結んでおくことが考えられます。

 

2、即効型

即効型とは、すでに判断能力が少し不十分な状況にある場合に結び、契約締結後に

直ちに家庭裁判所に申請して、支援を開始するものです。

法定後見との違いは、本人が信頼している人を後見人に選ぶことができるところです。

 

3、移行型

そして最後に移行型ですが、この形が一番有効であるといえます。

将来、自分の判断能力が不十分になったときに備えて、任意後見契約を結ぶと同時に

同じ人との間で、別途、現時点から任意後見契約が開始するまでの間も、

財産管理や本人の身上監護に関する委任契約を結ぶ※形をとります。

 

財産管理契約と、任意後見契約を同時に結んでおき、

本人の判断能力があるうちは、財産管理契約で定めた事項を行ってもらい、

本人の判断能力が不十分になったときに、財産管理契約の事務処理は終了し、

任意後見契約による、事務処理がスタートします。

 

この移行型は、当事者間で信頼関係を結んでいくことができることと、

生活状況を大まかに把握できるため、判断能力の衰えなどを察知しやすいなどのメリットの他、

契約は結んだものの、そりが合わない場合は、任意後見が開始になるまでは

契約を取り消すことができるなどのメリットもあります。

 

 

以上が、任意後見の3類型のおおまかな説明です。成年後見制度は複雑ですので、

分からないところは、お気軽にご相談ください。

 

※財産管理契約とは、本人の判断能力は十分なものの、身体的に日常生活等が

難しいことから、財産管理等の事務を頼みたいというような場合に契約を結ぶものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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